午後3時のフライト

真夜中テレビに映し出されている台風情報では、人間の姿はなく、声もせず、やすらぎのバックグラウンドミュージックがごく控えめに流れているのであるが、この画面が部屋に存在しているだけで、社畜と揶揄されがちな我々をストレスから解放する役割を果たしていることがあきらかになったのはつい最近のことである。進路情報図上にみとめられる、樹木の年輪のような線がF分の1ゆらぎの効果をもたらしているのかもしれない。 曇ったガラス玉を二つ無造作にはめ込まれた泥まんじゅうの如き人間となった自分を、卑下することもなくそのまま自然に受け入れることができるようになると、とある機関誌で報告されている。わたしは先日、ガレージを改造し広々とした空間を売りにしているカフェで、どう座り直しても上半身が傾くオレンジ色の革のソファに身を埋めながら友人からその話を聞いた。予感が現実になったのを察知し、このままではいけない!と強く思ったのと同時に非常に洗練されているふるまいをできるだけ意識しながら立ち上がった。 先週台風が直撃し、わたしの大好きな翡翠色のプチトマトが壊滅的な被害を受けたとヤフーニュースで読んだ、あの県へと向かうためにカフェを全力疾走で飛び出した。