ナチュラル・フォース・14

ふみちゃんのヘアピンは青くて白い水玉模様が入っていて、見る度にかわいいなあわたしも欲しいなあと思っていたのだが、あのヘアピンはどうやらある新興宗教が信者に配布しているバッジらしいということをひなたちゃんから聞いたのは、今朝のホームルームが終わった後ーー毎朝おなじみの低血圧で気分が優れず、 今日という今日はすっかり何もかもが嫌になってしまったので、解決できないくせにいじめについてもったいぶった持論を正義面で展開した教師を、空想の中でさんざん嬲りものにしている最中のことだった。 その時のわたしの感想は、それが本当ならその新興宗教に入信したいという内容のものだ。誰もが笑顔で踊り出さずにはいられないような御機嫌な夏の青空に、ポップな形の雲が規則正しく何だかリズミカルに配置されている、あんなにかわいくて大胆それでいて永遠の清らかさを湛えたヘアピンには、まずお目にかかれない。 それに、そうだ、あんなに素敵なデザインを考える人が関わっているような団体であれば、そのデザインの精神と何かしら共通点を持っているような新興宗教団体である可能性が高いのではないか。わたしはただ夏の太陽の光をいっぱい浴びて、青空の下で笑いたいだけなのだ。こんな陰気な強制収容所で、くだらない大人に暇つぶしの教養を身につけさせられたくなどない。わたしは自らの生存する時間の一瞬も無駄にしたくはない。椅子の転がる音がした。わたしはふみちゃんの背後に立ち、その青空に手を伸ばした。